TECHNOLOGY 技術情報

ミリ波加熱入門編

1. ミリ波とは

マイクロ波とは電磁波の中で、周波数が 300MHz〜300GHz(波長 1m〜 1mm)までの電磁波の総称です。
そのうちで、周波数が約30GHz〜300GHzのものは、波長が数mmであることから、特にミリ波と呼ばれます。
(すなわち波長 15mm〜1mm の電磁波ということになります。)

マイクロ波・ミリ波加熱は自己発熱

誘電体(被加熱物)にマイクロ波を照射すると、マイクロ波の電場によって誘電体(被加熱物)自身が発熱します。
これが外部加熱方式との大きな違いです。
外部熱源よりの輻射や熱伝導で試料を昇温するのではなく、試料自身が発熱するため、省エネルギ−に役立ちます。
また、試料内部の温度分布が試料自身の熱伝導に依存しないため、温度分布が良く、急速昇温が可能です。

発熱効率が高いミリ波

誘電体(被加熱物)の発熱量は周波数に比例するため、同じマイクロ波でも、周波数が高いミリ波帯域になるほど発熱効率が高くなります。
また、電界分布の均一帯(外部加熱方式の均熱帯)は周波数を高くするほど大きくなりますので、小さなアプリケ−タで大容積の加熱が可能となります。

金属も加熱できるミリ波!

2.45GHz のマイクロ波と 28GHz のミリ波の一番大きな違いは、ミリ波では金属も加熱できる事です。
金属に 2.45GHz のマイクロ波を照射致しますとア−クが発生しますが、28GHz のミリ波ではア−クの発生も無く、均一に加熱が可能です。

2. 加熱の原理

誘電体(被加熱物)にマイクロ波を照射したとき、正負の双極子の集合体である誘電体は、双極子が激しく振動回転する、すなわち誘電体物質の内部に侵入したマイクロ波の電場によって分子振動が起こり、その振動摩擦によって誘電体が発熱します。
この時の単位体積当たり発熱量P は、次のように表されます。

加熱の原理

式中の ε0εrtanδ を材料の誘電損率と呼び、温度と周波数によって変化します。
一般的にセラミックスでは、周波数が高いほど誘電損率が高く、周波数が同じであれば温度が高いほど誘電損率が高くなります。

電子レンジの周波数である 2450MHzでは石英ガラス、アルミナ、窒化珪素などの誘電損率の低い材料を加熱するのは困難ですが、周波数を高く(例えば 28GHz) にすれば、材料の誘電損率が高くなるうえ、発熱量は周波数に比例するので容易に加熱することができます。
誘電体中でマイクロ波エネルギ−は熱に変換されますので、マイクロ波は誘電体の中を進むに従って指数関数的に減衰します。

マイクロ波エネルギ−が半分に減衰する距離Dを電力の半減深度と呼び、マイクロ波の誘電体中の伝播係数を求めることにより次式で表されます。

加熱の原理

周波数が高く、tanδが大きいほど、電力の半減深度は浅くなります。

ミリ波の応用

核融合実験のプラズマ昇温に利用されていた28GHzという高周波数のマイクロ波(ミリ波)を、材料加熱の分野に応用できないか、との発想から取り組んでいます。産学連携にも積極的に取り組み技術開発し、国内でいち早く28GHzミリ波焼結装置を完成させました。
従来、電子レンジに利用されている一般的な2.45GHzマイクロ波では難しいとされていた、セラミックスや金属の加熱に応用し実績を積み重ねています。
クリーンで高効率な21世紀の新しい工業加熱手法として、また材料改質の手法として、世界で注目され始めています。

  • ミリ波加熱入門編
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材料研究に成果をあげるミリ波加熱

28GHzミリ波加熱装置を使用した研究では、アルミナや窒化ケイ素などの難焼結性のセラミックスを焼結した場合のデータとして、従来方法よりも低い温度で焼結され、粒子が小さく均一で、純度が高い、といった成果が報告されています。
また、
「金属粉末を大気中で加熱して窒化物が合成できた」
「従来の電気炉加熱と比べて数10倍の強磁性の鉄多ホウ化物が合成できた」
「ミリ波とホットプレス法の組み合わせで、特性の優れた圧電セラミックスが焼結できた」
といった興味深い研究成果も近年、発表されています。

材料研究に成果をあげるミリ波加熱
ミリ波で合成した窒化チタン粉

富士電波工業の研究成果

弊社では、ミリ波を利用した材料プロセシング技術開発に取り組んでいます。
これまでに、実験に成功している事例はこちら。

  • 大気中でのチタンの窒化
  • 金属やセラミックスの接合

弊社では、特に接合分野でニーズをお持ちの企業、研究機関の方と共同で、ミリ波接合の実用化を希望しております。
ご関心をお持ちいただけましたら、是非、ご連絡下さい。

材料研究に成果をあげるミリ波加熱
(上)銅とアルミナの接合
(下)ステンレスの接合

28GHzミリ波加熱装置の製造・販売

ミリ波による材料の加熱は、ミリ波が物体(誘電体)を透過する際に生じる誘電損失による自己発熱現象を利用しています。従って、燃焼やヒーター加熱による外部加熱方式と比べてシンプルな炉構造が実現できます。
誘電損失による発熱量はミリ波の周波数に比例して大きくなるので、出来るだけ高い周波数の発振エネルギー源が必要です。

富士電波工業のミリ波加熱装置は、ミリ波発生源にジャイロトロン発振管を採用しています。
28GHzの高周波数、出力も10kWまたは3kWの連続波(CW)で、新素材の研究開発ニーズにお応えします。

28GHzミリ波加熱装置の製造・販売
3kWミリ波加熱装置